路傍の花

安達太良山麓はわりと手つかずの自然が残っています。
折々の散歩に軽口を叩きましょう。

名誉院長 鈴木 孝雄

花の名前 Ⅱ

花の名前にはヘクソカズラのように
気の毒な名前のものもありますが、
大方はユニークで一理あり、
ユーモラスだったり、
先人の観察眼の確かさに
感心させられます。


トリカブト 鳥兜


花の形が舞楽の時にかぶる冠・鳥兜に似ているところからつきました。

多くの種類がありますが、
山の中でも青紫色の花が目立ちます。

ヤマトリカブトと思われます。

猛毒植物で要注意です。


ツリフネソウ 釣船草


花の形が船を吊り下げたように見えるところから名付けられました。

公園内の小川の辺に毎年、群生し、
紅紫色の花が楽しみです。

1年草と言われますが。・・・?


ゲンノショウコ 現の証拠



薬草で腹痛や下痢にすぐ効くことから現の証拠の名が。

白、ピンク、紅紫色のものがあります。

民間薬ですが、医薬品としても使用されます。

撮影:2019.9.7 自宅 湯の森公園にて

2019.9.7



花の名前 Ⅰ

秋風が涼しく感じられるようになり
散歩が楽しくなりました。

たくさんの花々に目が奪われますが、
その名前となると浅学の悲しさ、
分からないものが多いです。

名前が分かればもっと楽しく、
もっと親しく感じられるだろうと考えながら歩きます。


ミズヒキ 水引


細長い枝に真紅の小花を連ねます。

お祝いの贈り物にかける水引に似ていますので、
名付けられました。

10数年前にいただいた1株が庭中に広がりました。


キンシバイ 金糸梅


中国原産

ビヨウヤナギ
未央柳と同類異種、
江戸時代に渡来しました。

近年、園芸花種として改良され、
花壇や生垣に植えられます。

黄色の大きな花が見事で、
梅花に似るので名があります。


オトギリソウ 弟切草


薬用植物

鷹匠の兄が秘密にしていた鷹の傷薬を
弟が他人に漏らしたことを怒り、
斬殺したという平安時代の伝説から名付けられました。

花や葉に黒い点や線があります。


ボタンズルとヘクソカズラ


ボタンズルを撮影したら、
偶然ヘクソカズラも写りました。

ボタンズル
牡丹蔓は木質のつる性植物、
葉の様子から名付けられました。

花はセンニンソウ 仙人草と似ています。


ヘクソカズラ
屁糞葛は花や葉が嫌な臭いがするのでついた名前です。

花の中心部が赤色で可愛らしく
早乙女花の名もあります。

万葉集に「くそかづら」として1首詠まれています。

撮影:2019.9.2 自宅近辺

2019.9.3



アレチマツヨイグサ


夕方から夕闇がせまる夜(宵)に開花し、
翌朝明るくなると花が萎むので、
和名待宵草や月見草(*1)と呼ばれます。

いくつかの種属がありますが、
いずれも北アメリカ原産で、
明治の始めから後期に輸入され帰化しました。


太宰治「富岳百景」や竹久夢二作詞「宵待草」のモデルは
オオマツヨイグサであろうとされています。

しかし、この辺りでは黄色の大きな花、
直径8センチほどになる
オオマツヨイグサは見られません。

昔は、確かではありません、
見たような気がしますが。
メマツヨイグサ(*2)やアレチマツヨイグサとの生存競争に
敗れたものと思います。


一方、荒れ地や空き地に最も多く見られるのはアレチマツヨイグサ、
直立した1-1.5メートルの立ち姿に目がうばわれますが、
日中の散歩時には大抵、花が萎みうな垂れていますので、
心底から素晴らしいと申せません。


この開花時刻の謎が単なる明暗によるものでないと、
ある小学生が実験し発見、
自然科学コンクールに報告したそうです。
素晴らしい。

滝本敦氏の研究によれば、
植物の生物時計が関係し、
夏の季節は日没前に開花可能な時刻に達し、
周りが薄暗くなるのを待って開花する。

待宵草とは良く言ったものですね。


掲載の写真は辺りが暗くなってから、
盆踊りのお囃子を聴きながら恐々急な草道を下り、
フラッシュ撮影しました。

全開したアレチマツヨイグサの花が偶然写り、
これは素敵です。

撮影:2019.8.24 PM7:30

注)*1 ツキミソウは別種、花は純白です(牧野図鑑)
  *2 メマツヨイグサとアレチマツヨイグサの区別は難しいですが、
   アレチマツヨイグサの花弁の間にはすき間があります

2019.8.29



ウバユリ


ウバユリが咲き始めました。

艶やかな山百合に比べると素朴そのものですが、
わが家の古い仲間、自慢の種の植物です。

今年も敷地内に20本ほど数えました。


『色褪せたドクダミの中から背丈が2メートル近く、
巨大と言ってもよいほど逞しく太い茎の先端に15センチもある。
花を10数個、横向きに咲かせています。
花の色は茎と同じ緑白色で目立たないが、
その個性的な姿はまさに堂々として、
訪れる人に「これは何者」と驚かれます。

ウバユリは九州、四国、本州、北海道の日本全国に分布し、
落葉広葉樹林の林床に生息する、
決して珍しくない多年草ですが、
あんがい知らない人が多く、
しかもユリ愛好者の評判も芳しくないようです。

3年前、前の林から我が家にやってきました。
引っ越しといっても
ウバユリは実生から開花まで6-8年かかると言われますから、
その経過は謎めいています。 
玄関の目と鼻先ですから、
その成長を毎日観察し新しい発見にびっくり、
夜になると色めいた美しさが、
そしてなんと芳香を発し
深夜には玄関先に甘酸っぱい香りが漂います。 

ウバユリの名は
花が咲く時期には葉(歯)が枯れ落ちるから
「姥」に見立てたとされますが、
私には「姥」などではなく公爵夫人の気品が感じられます。』
(平成16年二本松音楽協会会報から抜粋)


記載はウバユリの変種と言われる
「オオウバユリ」ですが、
玄関横目前に突如発芽し、
逞しく成長し、
開花した雄姿に感嘆した様子が窺われます。

数年間は最大27個の花が咲き、まさに壮観でした。
現在は花の数は1、2個から10個、
一面の群生が見られなくなりました。

ウバユリの素晴らしさをもう一度、声高に。

花は6-8年の生涯に、ただ一度しか咲かない。
花をつけたウバユリは結実し、
その直後に枯死してしまいます。
典型的な1回繁殖型、
6-8年間に貯め込んだエネルギーのすべてを使い、
大きな花を咲かせ、
たくさんの種子を残します。
しかし、何百、何千の子孫の運命や如何か。

ご存知の方も多いと思いますが、
二本松市名誉市民・文化勲章に輝いた大山忠作先生の作品に
「花(姥百合)」があります。
画家の目を通した生きたウバユリに感動します。

 撮影1:2019.8.4.自宅
 撮影2:2005.8.2.自宅

2019.8.4




ネジバナ(モジズリ)


 昨日、散歩の途中でネジバナの群生を見つけました。

ラン科の植物は普通、
野や山の中ではなかなか見つけられないのですが、
ネジバナは草地や芝生に身近に生え、
ランらしくないランと言えます。
 
群落の近くのあちらこちらにも見られ、
20メートルほどの遊歩道には
花を避けて歩いた踏み跡が続いていました。

 細長い葉の中心から20-40センチの穂状の花序を伸ばし、
淡紅色の小花が螺旋状に咲きあがる様子は
実に可憐そのものです。
花序には右巻きと左巻きのものが両方見られます。
 
「ネジバナ」の名はこのねじれた花序からついたものです。
別名「モジズリ」は「シノブモジズリ」の語によります。

モジズリ(文知摺)は信夫地方(現福島市)に古くからある染色技法、
草や木の汁で乱れた菱型文様に染めた絹織物です。


「陸奥(みちのく)の しのぶもぢずり 誰(たれ)ゆゑに 
乱れそめにし われならなくに」
(河原左大臣)
[忍ぶ恋]の代表作

小倉百人一首に選ばれています。

撮影:2018.7.28 鏡ケ池遊歩道にて

2019.7.29



オカトラノオ(岡虎の尾)


白い花穂が垂れ下がり
『虎の尾』に似ているから名付けられました。

山地や原野の日当たりがいい場所に生えます。


十数年も前になるかと思いますが、
安達太良山頂上から峰の辻、
勢至平から奥岳登山道を下り、
烏川を渡り、
スキー場に至る少し手前の開けた草原で、
直立した円柱形の100センチもある茎の頂に
20センチもある花穂をゆったりと垂れた
「トラノオ」を見つけました。

獰猛さは全くなく、
むしろ優しげでしたが、
これぞ野生かと魅了されました。


わが家にもやってきました。
2年前から駐車場前の林縁に移り、
小さな集団を作りました。

今年は日照不足で逞しさが全くありません。


写真を撮っていたら、
小さな白い蝶がやってきました。

撮影:2019.7.13 駐車場前林縁にて

2019.7.16



ワスレグサ(ヤブカンゾウ)


何年前だったか、
梅雨明けが待たれる頃
駐車場の土手に橙赤色の鮮やかな花を見つけました。

図鑑を調べ、
ワスレグサ(ヤブカンゾウ)と初めて知りました。

それ以後、土手の除草は開花を待って行うようにしましたところ、
一昨年には土手全面に群生し
開花を競い、壮観でした。

花は黄色から橙赤色で、
雄しべの全部または一部が花びらのようになり、
八重咲きになるのが特徴です。
多くは一日花です。

ワスレグサは中国が原産で
有史以前に日本に帰化しました。

遺伝子染色体が3倍体で不稔性、
果実を作ることが出来ません。
どうやって繁殖するのか、
ランナー(匍匐茎)を出し発芽します。
人の手や災害などの移動がなければ、
繁殖は地道な一歩、一歩です。

中国から稲や麦などの農耕種とともに
海を渡りやってきたと考えられますが、
縄文時代、弥生時代なのか。

やがて時が下り、
万葉集に4首詠われています。

「萱草(わすれぐさ) わが紐に付く 香久山の
古りにし 里を忘れぬがため」
(3・三三四)

意訳は萱草を下紐に付けました。
香久山の聳えるふるさと明日香をいっそのこと忘れようと思って。
(万葉集 新潮古典集成による)

中国では昔、
この花を見ると「憂い」が忘れられるという民俗思想があり、
萱草ワスレグサと名付けられました。
その漢名の意訳がカンゾウ、
藪に生えるからヤブカンゾウと
今、呼ばれます。

さて、古代中国からはるばる現代のわが家にたどり着くまで
どんなドラマを見てきたものか。

なお、漢方薬としてよく処方されるカンゾウは「甘草」と書き、
マメ科の植物で別種だそうです。

撮影:2019.7.13. 自宅にて

2019.7.14



ナツツバキ


直径5センチほどの白色の花、
夏に椿の花のように咲くから夏椿と呼ばれます。

清楚で美しく、
気品に満ち、
シャラノキ(沙羅樹)、
シャラソウジュ(沙羅双樹)とも呼ばれ、
「平家物語」の「祇園精舎の鐘の声、…沙羅双樹の花の色…」の憂いあり。

しかし、釈迦が入滅に際し、
白変したとされるインド シャラノキとは異なり、
誤認されたものと言われます。
(牧野図鑑による)


樹皮が滑らかで外面表皮が薄く剥がれ、
灰白色、帯紅色の肌が美しく、
単幹、双幹、株立ちの樹形も好まれ、
よく公園や茶室の庭に植樹されます。


当院では隣家との狭い空間を占め、
成長が早く、
樹高が7-8メートルに、
今年は見事に咲きました。


・・・思い出します・・・

山野を駆けるのが大好きなダルメシアン
今は亡き、愛犬のヴィクでした。

兎を追い、牧草地を全力疾走しては遊び疲れ、
トボトボ下る山道に
ひと際目立つナツツバキの白い花。
(30年以上前になるかしら、若かった、いつも一緒でした)


何年か前に右側の大枝を風で失いましたが、
今も数えきれないほどの花と蕾をつけています。

深堀川の急斜面に立つ
この辺り一番の大木です。

撮影:画像1 2019.7.03    中庭にて
   画像2 2019.6.28 0宅前山林にて

2019.7.4



スイカズラ


スイカズラはつる性植物で山野に自生し
珍しい花ではありません。

夏が近づき梅雨に入る今頃、
毎年開花が楽しめます。

花中の蜜に芳香があり、
近づくとほのかにいい匂いが漂ってきます。

子供がこの甘い蜜を吸うから「スイカズラ」
吸う時の唇の形に似ているのでとも。
(牧野図鑑)


花は必ず2個が対になって咲き、
上弁の先が浅く4裂し、
下弁が細く下方に反り返り、
まるで踊っているような様子が見事で美しい。

蕾は淡紅色、開花すると白く、後に黄色になります、
そこで金銀花とも呼ばれます。

半常緑なのでよく厳しい冬に耐えるとして、
忍冬(にんどう)と俳句などでは詠われます。


日本では栽培されることはないようですが、
欧米では珍重され、
観賞用に植えられているそうです。

しかし、それが野生化し畠を荒らし、
木々に巻き付き枯死させるので、
「ジャパニーズ・ハニー・サックル」と嫌われ者扱いされることも。

しかし、英名ハニーサックル(蜜の如き乳を吸う)の名は
実に当を得て素晴らしいですね。

写真はお隣の土手ですが、
「ヤマウコギ」の花との競演です。

撮影:2019.6.6. 隣家の土手

2019.6.15



エゴノキ


枝一杯に純白の花をたくさん咲かせるエゴノキは
「良く咲いたね」と声を上げたくなるほど見事です。

近づくと、甘くいい香りが漂ってきます。

当地では「ジシャ」と呼ばれます。

万葉集に「咲ける盛に愛(は)しきよし」・・と
詠まれている(松川修「万葉の植物による」)
「知佐(ちさ)」から「ジシャ」と濁ったものかと思います。
「ずうずう弁」特有の響きがあります。


満開になったエゴの花の散り際がお見事です。
山道を真っ白に埋めつくし、
踏み越えるのをためらうほどです。

「咲く」が良し、
しかも「散る」も良しです。

毎年楽しみにしている花です。

8-9月、径1センチの円形果実が熟します。
この果皮が喉を刺激してえごいので
「エゴノキ」とよばれるそうです(牧野)。
エゴサボニンという有毒成分を含んでいます。

撮影:2019.6.1. 岳温泉湯小屋にて

2019.6.4



ニセアカシア(ハリエンジュ)


東雲堂クリニック駐車場に甘い芳香が漂っています。
この暑さでニセアカシア(ハリエンジュ)が急に咲き始めました。

この木は明治10年ごろ日本に入り、
庭園や街路樹に植えられ、
また各地で野生化しました。
北海道公園など見事なアカシア並木に驚かれた方も多いと思います。
日本では一般にアカシアと呼ばれていますが、

実は・・・

本物のアカシアはオーストラリア原産、
熱帯地方に多く、寒さに弱い。
また、枝に鋭いトゲがあり、
ハリエンジュ(針槐樹)と呼ばれ、
これが日本では正式な名称のようですが、
エンジュともアカシアとも
まったく異なる植物だそうです。
やや、ややっこしいですが、
本種はアメリカ東部原産の「ニセアカシア」。
発芽力は強く、ところかまわず生着し、
成長力が強いので大木になります。

当院の木も10年ほど前、
どこかから飛んできてあっという間に成長しました。
一昨年秋に強く剪定したので、
昨年はまったく花が咲きませんでしたが、
今年はいつもの半分ほど花をつけ安堵しました。

大きな白い総状花序は天ぷらが珍味だそうです。
また、養蜂家にとっては重要な蜜源となり、
アカシア蜂蜜と呼ばれます。

成長が早く、やたらにはびこる性質が厄介者扱いされることも。
しかし私はその逞しさが好きです。

撮影:2019.5.25. クリニック駐車場にて

2019.5.27



ホオノキ(朴の木)―T女史のオマージュ


ホオノキは成長が極めて速く大木になり、
大木にふさわしい大きな葉と
大きく見事な花をつけます。

普通にみられる花ですが、
高い木のてっぺんに咲くので、
気付く人が少ないようです。

岳ダムの湖面が見え隠れするニコニコ橋上は絶好のポイント、
毎年楽しみにしております。
対岸の山藤も見頃でした。


田中牧場のT女史を思い出します。

ある日、朴の花が咲いたから見に来いとT女史から電話が・・・。
広大な丘に30メートルのホオノキが
緑なす安達太良山を背に直立し、
まさに王者の貫禄。
見に行けない年は大きな花をつけた1メートルの枝が届き、
甘酸っぱい、強烈な芳香が家中に溢れました。

戦後、原野から牧草地を耕し、
FMクラシックを聴きながら乳を搾る、
誇り高き旧磐女卒業で、
自然と酪農の喜びを歌い、
モーツァルトを愛したT女史。

昭和63年11月、
「二本松みんなで第九を歌う会」演奏会、
渡部勝彦指揮山形交響楽団、
ソリストは二期会会員。
T女史78歳を筆頭に
中学生までの120余名が「歓喜の歌」を歌い、
感動を共にしましたことが。

臨終には「二重協奏曲K.299」をと遺言、
頑固者だから必ずと。

臨終の知らせを受けCDを持って駆けつけました。
安らかなお顔。

養子夫妻の好意で通夜、葬儀中、
モーツァルトが響きました。

T女史、明治43年生まれ、
98歳、天寿を全うしました。 

撮影:2019.5.18. ニコニコ橋より

2019.5.22



ウワミズザクラ


木々が日ごとに緑を深める頃
ウワミズザクラが咲きます。

楚々として目立ちませんが知る人ぞ知る、
「今年はよく咲きましたね」、
「花が大きくて見事ですね」などの
会話が弾みます。

この辺りに多く自生し、
10-20メートルの高木になります。

花は白色の総状花序、
穂状で長さ10-20センチ、幅2-3センチあります。

古名「ハハカ」(波波迦)は
古事記神話篇其の二(三浦佑之訳口語訳古事記による)に登場します。

戦時中でしたが、この有名な神話を小学校で習った鮮明な記憶が・・・

天岩戸前で神々の優麗なドラマが展開されます。
その時行われた太占(ふとまに)は雄鹿の肩甲骨を抜き取り、
裏側に溝をつけ天の香久山のウワミズザクラを燃やし、
そのひび割れで占う。
「占(裏)溝桜」とよばれるようになり、
それが転じたのが現在の和名説、
説得力があります。
(朝日新聞刊植物の世界5-123)

8月ごろ、高木を飾る赤紅色の果実は見応えがあります。

黒紫色に熟すと甘くなり、
さくら味、クマリン芳香の強い
美しい紅色の果実酒が出来ます。

撮影:2019.5.11. 自宅前にて

2019.5.14



地蔵坂のお地蔵さん


うしろで
優雅な、低い話し声がする。

ふりかえると人はいなくて
温和な石仏が三体

ふっと
口をつぐんでしまわれた。

秋が余りに静かなので
石仏であることをお忘れになって
お話などをなさったらしい。
(以下略)

石仏―晩秋 吉野弘「花と木のうた」より


保育所の前から急峻な地蔵坂を登り切ると、
三体のお地蔵さんが新緑の木漏れ日の中に並んでいます。

二体には顔がなく、
一番小さな一体だけに顔があります。

目の前でお父さん、お母さんが斬首されたのと言っています。

どんなに怖かったでしょうに
静かなやさしい声。

さらに山奥の奥岳地蔵尊、勢至平地蔵尊、岳小関周辺でも、
お地蔵さんの首切りが。

どうして、誰が、こんな山奥で。

慶応4年3月、明治新政府による「神仏分離令」などの法令が
矢継ぎ早に布告され、
廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)の
暴挙が行われました。

道端でみんなのために祈ってくださったのに。

誰も語ろうとしない明治維新の深い闇の証人。

撮影:2019.5.4 地蔵坂にて

2019.5.10



ウグイスカグラとモミジイチゴ(キイチゴ)


「今年はキイチゴの白い花が良く咲いたね」と言いながら、
傍らに特徴のある花を見つけました。

ウグイスカグラです。

高さ1-2メートルの細い枝から淡紅色のやや曲がった漏斗形、
花筒部が細長く2センチぐらいの花の形が実にユニークです。

ウグイスが鳴くころ咲くのでウグイスカグラ、
カグラは花の形を神楽の舞に見立ててこう呼ぶと。

花の形、名前は一度見聞きしたら忘れられませんが、
林の中から自力で発見できるかどうか。
私は春の山歩き中、山仲間から得意げに教えてもらいました。

なお液果は6月に鮮紅色に熟し、
甘く食べられます。


モミジイチゴは普通に山野に生え、
開けた林縁などでは群落してヤブとなり、
全身棘で武装した木が足にまとわりつき実に歩きにくい。

葉がモミジに似るのでこの名が、
日本名 木苺、黄苺もその特質を表しています。

生活史が特異で、
「木」であるのに地上茎の寿命が1年数か月と短く、
絶えず地上部の交代を行います。

多年生草本類に似た生活環で
「木と草の中間植物」と言われます。

枝に3センチの清楚な白い花の連なる姿が素敵ですが、
なんと言っても7月初め黄橙色に熟した果実が甘く美味しい。

棘が多いので恐る恐る掌を実の下に添えると、
待っていたとばかり、
実のほうから容易に落ちてくる感触がまた実に素晴らしいです。

撮影:2019.4.29 湯の森公園の裏山林縁にて

2019.5.2



キクサキイチゲ(キクザキイチリンソウ)


日課の福太郎(愛犬)散歩です。

深堀部落からの急な山道で白い花を見つけました。

咲き始めたばかりか下向きのイチリンソウ、
翌日も早朝のためかまだ俯いていました。

そして、気持ちよく晴れた午前11時、
3度目の正直、
長楕円形の花弁状のがく片が全平開、
菊の花に見立てキクザキイチゲ(キクザキイチリンソウ)と呼ばれます。

淡紫色の花が多いが、白色が清楚でとても美しい。

近くの林床にはめいっぱいに反りかえった美しいカタクリが、
かつての銀輪の女王の優美な姿を思い出させます。


これらの早春植物は木々の葉や草が茂る前の、
わずか1-2か月の間に1年の生活エネルギーを蓄え、
地上部が枯れ、生活を終えます。

スプリング・エフェメラル(春のはかない命)と言われますが、
一方で自然の逞しさが感じられます。


撮影:2019.4.22 深堀部落の山道にて

2019.4.25



タネツケバナ


しばらくお休みしていた散策をはじめ、
足元のそよ風に揺れる小さな草花に感嘆しました。

紫色の茎の天辺に白い十字の小花をつけたタネツケバナ、
愛らしく道化たようなヒメオドリコソウ、
ブルーの宝石を撒き散らしているイヌノフグリ、
葉陰に隠れた純白の小さなコハコベ。

そして辺りにはそっと顔を出したツクシ、
ラッパ水仙が咲き競っています。

ひそひそ語り合いか、歌っているのか、
春を奏でているのでしょう―通奏低音と変奏。

本題のタネツケバナ(種漬花)は苗代を作る前に
米の「種もみ」を水に漬ける頃咲くところからつけられましたが、
水田や道端など日本中、普通に見られるコスモポリタンな雑草です。


撮影:2019.4.14  自宅近くの空き地にて

2019.4.17


スノードロップ


むき出しの寒々としたほの暗い、
そして
ライバルの花が一つとして咲かない場所に、
  美しい宝石の花が開く。
   メアリ・ロビンソン(L・ディーズ「花精伝説」より)

 わが庭で春一番に咲く純白の花、
スノードロップ。

今年の10月に目出度く百歳になる患者さんのFさんから頂いた1株が
大きい株となり、また株数も増えた。
20年も前のことだったが、名前は知らないと...

例年だとまだ風が冷たく、
雪が残る寒々とした庭は滅多に歩かず、
また、雪よりも白い花の異国的な雰囲気から園芸種と考え、
それ以上の検索を怠っていた。

ところが調べてみて驚いた。
ヨーロッパでは特別な花だと知った。

宗教とのかかわりが深く、
たくさんの神話や伝説、詩に登場する。

スノードロップ(英名)は「雪の雫」、
または「雪の耳飾り」の意である。

花言葉も多く、
イギリスでは「希望」、「慰め」、「まさかの時の友情」、
フランスではさらに「恋の最初のまなざし」、「楽しい予告」など。

撮影:2019.3.5 庭にて

2019.3.5



オオイヌノフグリ


 冷たかった風が止み、
気持ちがいい早朝散歩、
青空に浮かんだように白銀の安達太良山連峰が輝いていました。

そして気温が上昇した11時過ぎ、
狙い通り、オオイヌノフグリの全開です。

それは近くの旧深堀温泉跡地のほぼ真南面の急な土手、
直射日光に温まり青空に染まり、
瑠璃色というのか、
コバルトブルーというのか、
少し無機的なラピスラズリか。

オオイヌノフグリは2年草で秋芽生えが厳しい冬に耐えに耐え、
明るい陽光に目を覚まし、
いち早く春を告げます。

毎年日本中で春の風景として親しまれ、
私もそうですが、
ドキドキしながらオオイヌノフグリの開花を待つ人が多いでしょう。

また、実は西アジア原産、ヨーロッパかアメリカ経由で
日本へ侵入帰化した植物と聞いて驚く人も多いでしょう。。

イヌノフグリとは「犬の陰嚢」のこと、
実の形と細毛の生え具合が名のいわれで、
犬の局所をとくと観察し、
似ているぞとひざをうった人がいたそうです。 

撮影:20192.24 深堀部落

2019.2.26



ヤドリギ ーその3ー


このヤドリギの写真は街でもよく見るけれど、
木の病気の天狗巣病と思っていたと言われ、
間違ったかと急に心配になりました。

はるか頭上の梢に望遠レンズの焦点を合わせ凝視したら、
眩暈しました。

両足を一杯に踏ん張り下を見ると、
房状に4,5個連なったほんの5,6㎜の果実を発見。
もちもち、ぷりぷり、
まるで小ゴム球、
ヤドリギに間違いなしと確信しました。

 麓次郎著「季節の花事典」(八坂書房)は
ヤドリギについて大変詳しいです。
 万葉の昔から祝いの木として知られていると、
大友家持の一首を紹介しています。

 「あしびきの山の木末(こぬれ)の寄生(ほよ)取りて
挿頭(かざ)しつらくは千年寿(は)ぐとぞ」
(注:ほよはヤドリギの古名)

 日本古典にみられるヤドリギについて
「枕草子」、「源氏物語」を紹介。
「根無し草」、「他木に寄って生きる頼りなさ」を表しているそうです。

 一方、ヨーロッパでは小木、
かつ地に根がないのに冬でも常緑、
大木を自分の奴隷として栄養分を供給させている。

つまり、「弱者よく強者を制する」この神秘力が崇拝されており、
ヤドリギの花言葉は「征服」、「堅忍不抜」、「困難に打ち勝つ」。

 日本人と西洋人のものの考えた方の相違をよく表していますね。

撮影:2019.2.5 ヤドリギ果実

2019.2.11



ヤドリギ -その2-


ヤドリギは常緑で半寄生のれっきとした灌木(低木)です。
 
南日本ではエノキに、
北日本ではミズナラに寄生する場合が多いが、
サクラやブナにも寄生します(堀田満による)。

寄生すると栄養の大部分や場所を宿主に依存しますが、
半寄生とは水分と栄養素は依存するけれど、
光合成能力は持つものです。
それぞれの種として生存や繁殖に都合よいように進化したものと考えられます。

ヤドリギの実を食べた野鳥がフンをしてフンに混じった種
(粘着力が強いビシンという物質に覆われている)が
枝にとりつき発芽することから始まります。

成長すると団塊状の、
写真のように大小さまざまな腫瘤状の株を形成します。

私には職業柄、異様な光景(がん転移)に見えるので心配です。
個人的な感想は別としても、
ヤドリギが寄生した枝先は樹勢が弱り、
枯れているように見えます。

須賀紀一氏(二本松市文化財保護審議会会長)によれば、
安達太良山麓、岳温泉周辺のミズナラとコナラの混交林は
たいへん珍しく貴重だとのことです。
大切にしたいと思います。

2019.1.19 旧S邸にて 望遠レンズ使用   
黄色の実がたくさん連なっております

2019.1.21



ヤドリギ -その1-


冬の風物詩というべき、
天空を刺す孤影悄然たる楢(ナラ)の冬木立に近頃、
気になる光景を発見します。

ヤドリギです。
 
幹や枝の中、はじめは蜘蛛の巣や鳥の巣のようにぼんやりしていますが、
年々大きくなり大小の丸い腫瘤をつくり、
すごく気になるのです。

ヤドリギ(宿り木)は寄生植物です。

西洋では神聖な植物とされ、
特にオークに宿るものはもっとも珍重されました。
クリスマスや正月に飾り、
その下で恋人がキスすると「いいこと」があるのだそうです。

ところで、オークはどんな木?

名著「野生の樹木園」(マーリオ・リゴーニ・ステルン著)によりますと、
ブナ科コナラ属、種類に富み300種ほどを数え、
いずれの種も頑丈で抵抗性に富み、
なかには高さが40から50メートル、
幹まわりが8から10メートルに達します。

古くケルト族やギリシャ神話、
偉大な芸術作品(詩、絵画、文芸)を飾り、
その特性と荘厳さゆえにつねに人々から崇拝されました。
「オークの森はかくも神聖なものであり、
ためにカエサル(ローマ皇帝)の兵士でさえ、
これを伐るのを怯んだ。」

洋の東西を問わず、鎮守の森に神宿る「神木」物語で素晴らしい。

2019.1.13 旧S邸にて 

2019.1.21



ヒマラヤスギ(ヒマラヤ杉)-その2-


生まれは(原産地)ヒマラヤ北西部からアフガニスタン東部、
日本には明治初期に渡来した。

名前は杉だが松の仲間、
庭や公園に広く移植された。

成長が早く30メートルに達するが、
成熟には30年の月日がかかる。

10月中旬、花粉を辺り一面にまき散らし、まるで黄色の吹雪。
天辺にある雌花が受粉、球果をつくる。

成熟には1年以上かかるが、これが松ぼっくり、
「シダーローズ」になるそうだ。

2018.12. 8撮影 屋上から


付記:文明の脅威
レバノン杉―悲しい物語

 ヒマラヤスギの近い仲間だが、
分布域が異なりシリアを中心と地中海東部沿岸。
 ここに古代文明が次々と生まれ栄えた。
 古くから建築用材として、古代エジプトの神殿に、
また、ローマ軍の船となり地中海を駆けめぐり。
乱伐と醜い争い。
文明がレバノン杉を殺した。

2018.12.19




ヒマラヤスギ(ヒマラヤ杉)-その1-

 

兄からもらったヒマラヤスギの若木、
昭和49年12月開院した翌年、
ブルで掘り起こされた荒れ地に移植した。

10本のシラカバで囲むようにしたら、
区画だけの庭は土色の空白だらけ。

これあげるよ、きれいな花が咲くよ、
この栗、5年もしたらなるぞ、
善意に甘え手当たり植えた。

空白がなくなり緑で染まった。
・・・
友人が言った、「まるで森の中みたい」

別荘のおばばさんが言った、「まるでお化け屋敷」
・・・

そして43年間、風雪に耐えた
ヒマラヤスギは堂々と逞しくなった。

2018.12. 9撮影 自宅前にて

2018.12.17

 


ウワミズザクラ


秋たけなわになりテレビに紅葉情報が報じられると、
朝夕、車のラッシュが続きます。
紅葉の名所として名高い安達太良山の山懐に住んでいる宿命みたいなものですが。
 
快晴となった昨日の朝、
わが家の玄関、勉強部屋、北側の寝室の窓がほんのりとピンクに染まりました。
駐車場前林の紅葉したウワミズザクラの照り返しでした。

ウワミズザクラはこの辺りに多い高木ですが、
いち早く色づいて秋の深まりを伝えてくれます。
少し濃いピンク色が明るく落ち着いた優しさがあります。
 大好きです。

実はウワミズザクラは春の花が素敵なのです。
お花見に賑わった桜(ソメイヨシノ)がすっかり散り、
木々が日ごとに緑を深める中に白い小さな花が総状に咲きます。
 明るい日中は目立ちませんが、
日が陰り夕暮れが迫るころ白い花穂が点々と浮かび、
まるで妖精が踊るようで幻想的です。

また、夏の終わりごろ、果実が濃いオレンジ色に輝きます。
そして熟すと最高の果樹酒となります。

古代、このウワミズザクラ(古名「波波迦」)を燃やして「占い」をしました。
古事記の神話です。

美しく、興味が尽きない木々に囲まれて幸せです。

2018.10.26撮影 自宅前の林

2018.10.27


マユミ(1)



マユミは昔この材で弓を作ったことにより、
強靭な弓、真弓と名付けられました。

そして安達太良真弓が、わが国最古の歌集「万葉集」の中に詠われ、
今風に言えば、「いいね」とフォローされたのでしょうか、
歌枕として多くの和歌に詠まれるようになりました。
奈良・平安時代のことです。

辺鄙な東北地方から都への情報発信の機会はごくごく限られたものでしたから、
そのインパクトが大きかったものと想像されます。

万葉集にはその1 
「陸奥(みちのく)の安達太良真弓弦(つる)箸(は)けて
引かばか人の我を言(こと)成さむ」
(巻7・1329)

その2
「陸奥(みちのく)の安達太良真弓弾(はじ)き置きて
反(せ)らしめ来(き)なば弦(つる)箸(は)かめかも」
(巻14・3437)

もう1首、安達太良山に関する歌があります。

その3
「安達太良の嶺(ね)に伏す 鹿猪(しし)のありつつも
吾(われ)至らむ寝処(ねど)な去りそね」
(巻14・3428) 

万葉集には東北地方を詠んだ歌が8首ありますが、
その中の3首がなんと上記の安達太良山の歌でした。

毎年、花と実をたくさんつけますが、今年は少ないようです。

2018.9.20撮影 鏡ヶ池畔にて(背景は安達太良山)

2018.10.16


マユミ(2)

マユミの花と実


マユミは初夏に緑白色の小さな花を多数つけ、
晩秋には鮮紅色の果実が熟し眩しいほどになります。

しかし、万葉集の安達太良真弓は植物そのものを詠んだものでなく
強い弓の比喩として、引く、心をとらえると解釈されています。

「安達太良真弓」について、
高橋富雄氏(元東北大教授)のユニークなご高説を紹介します。

その1は
「安達太良真弓の弓取りとして名の知られたわしだ。
弓に弦を張って射たならば百発百中、
弓に矢を構えただけで、もう勝負あったと人は言うだろう」
その心は
「この名手のおれがこれと見定めて、お前と決めたのであるぞ。
四の五は言わせん、みんなもう決まったと言うだろうよ」

一方、その2は
「いくら名手名人でも、平素の手入れを怠って弓を外してしまったならば、
いざという時、弦を張ろうとしても弓はしなりませんよ」
その心は
「恋人である、愛しているとおっしゃっても口先ばかり、
平素ちっとも構って下さらないで、急にそう言い寄られてもこちらはその気になれませんことよ」
 
二人は相思相愛の仲。
まことにリアルで感動的です。
ここに「安達太良真弓士」の雄姿と万葉ロマンが華々しく登場したのです。

画像は院長 Libraryより 自宅庭と近所のY氏宅にて

2018.10.16


アキノキリンソウ



湯の森公園でアキノキリンソウを見つけました。

登山道などではよく見ますが、
この辺では少ないので、開花を毎年心待ちにしております。

 花は秋に咲く黄金色の代表の一つ。
清楚でふくよか、優しい感じが素敵です。

大きな木陰や植え込みの縁に10本も見つけました。



 湯の森公園は温泉神社境内にあります。

樹高10メートルを超すスギ、アカマツ、コナラの木立の中の小さな公園です。
 
自然が残っていますので、チゴユリ、ギンラン、トラノオなど
野生の花や眩いほどの新緑が自慢ですが、訪れる人は少ない。

2018.9.26撮影 湯の森公園にて

2018. 9.26


ヤマハギ(ハギ 芽木 萩)

 

緑ヶ池周遊道の北側急斜面に数十株の萩が咲いています。
紅紫色の花が枝垂れる姿が美しいです。

 古くから日本人は萩を愛でてきました。

万葉集に141首、集中で花としては1番多く詠まれています。
「秋風は涼しくなりぬ馬並めていざ野に行かな萩が花見に」(10.二一〇三)と
萩の花見に出かけました。
(松田修著万葉の植物から)

 ハギにはいくつかの種類があり、自生する多くはヤマハギです。

「萩」は日本字で、草冠に秋と書いてハギと読みます。
山道で萩を見ると、もう秋かと感傷的になりますね。



 緑ヶ丘からは安達太良山を中心に連なる十連峰のパノラマが楽しめます。
穏やかな懐かしさがあります。
地元では安達太良山を「乳首山」と呼びます。

2018.9.19撮影 緑ヶ池周遊道にて

2018. 9.20


 

ウドとヨウシュヤマゴボウ

何処からともなくやって来て堂々と居座り、
花を咲かせる野草たちはわが家の楽しい客人です。



 成長が早く、大きな葉、茎、背丈が1.5メートルにもなるウドは
「独活の大木」と役立たずの諺とされます。

しかし、春には若芽や茎の酢の物、味噌汁、キンピラは独特の風味が絶品です。
店頭の栽培物は味が落ちますが。



ヨウシュヤマゴボウ(洋種山牛蒡)も大型です。

北アメリカ原産の帰化植物で有毒です。

小さい花や穂は下に垂れ、黒紫色の実は潰れやすく、
汁がつくとなかなか落ちません。
 昔、悪徳商人が安ブドウ酒の色付けに使ったそうです。

2018.9.12撮影 庭にて

2018. 9.14



オミナエシ



山道で優しい黄色のいかにも女性的なオミナエシを見つけるとうれしくなります。

またもう少し秋が深くなったころ、
「私ここよ」とひっこり顔を見せてくれる「ワレモコウ」(吾亦紅)も
近頃では出会うことがなくなり、すっかり「花屋さんの花」になってしまいました。
 
謡曲「女郎花」(おみなめし)は罪深い男女の情念と苦しみを歌いますが、
平安時代には貴族の夫人や令嬢を「女郎」と呼称したそうで、
黄色の花の華やかさ、優しさが愛でられたものと思われます。
秋の七草の一つ、万葉集にも詠われています。

2018.8.31撮影 R氏別荘にて

2018.09.01


ツユクサ

 

近くの草むらで「ツユクサ」を見つけた。
濃い青色にハッとする。
身近にある草花だが、早朝に咲き、
午後にはしぼんでしまうので、
見過ごしてしまうのかもしれない。

「青」の表現は難しいですが、ツユクサは深い青で、
6年前に東京で見たフェルメール ウルトラマリンブルーを思い出しました。
古くは「ツキクサ」と呼ばれ、青い花びらで衣を染めたそうです。
万葉集に詠われています。

2018.08.24