不整脈

不整脈とは

心臓の拍動のリズム(通常は脈拍として感じられます)が乱れている状態をいいます。
ただし広い意味では、心拍動が速くなったり(頻脈といい100回/分以上と定められています)、遅くなったり(徐脈といい50回/分以下と定められています)する状態も含めます。


不整脈の症状

脈がとんだり、その後の拍動を強く感じたりします。
また喉がつまったり、咳をしたくなるような症状や、胃や食道に異物が入ったような胸の違和感や不快感を自覚する場合もあります。

また、頻脈時には突然胸がドキドキしたり深呼吸をしたくなるような感じがします。
さらに急におしっこに行きたくなったりすることもあります。
これは急に心臓に負担がかかったために、尿を出して自分で心臓を守ろうとする防衛反応による症状です。

徐脈時には体がだるかったり、めまいがしたりします。
さらに脈が遅くなり3〜4秒程度心臓が拍動しなくなると、一瞬眼の前が真っ暗になったり、宙に浮いたような感じがし、場合によっては意識を失くします。

このような症状が出現すると、よく脳の病気と考え脳神経外科を受診される患者さんも多いようです。しかし、脳に血液が行かなくなる症状ですので原因は徐脈によることがほとんどです。

不整脈の診療の考え方

心臓は1日に約10万回も拍動していますが、誰でも1日に数回から数十回の脈の乱れを自覚することはよくありますし、運動している時は頻脈に、寝ている間は徐脈となります。
私たちは、日常生活の中で不整脈と上手にお付き合いしているとも言えます。

しかし不整脈を感じたり指摘されると、不自由であったり、自分の生命(いのち)は大丈夫であろうかという不安感で、通常の日常生活を送れなくなるという声もしばしば耳にします。

そこで患者さんは医療機関を受診されますが、専門医はどのように不整脈の診療を進めていくのでしょうか?





表をご欄下さい。

まずその不整脈自体が生命に関わるものかどうかを見極めます。
関わるものであればすぐに治療を開始しますが、そうでない不整脈の場合は心臓の働きが低下していないかどうかを評価します。

もし心臓の働きが悪ければ、不整脈自体は良性でもその不整脈がさらに心臓の働きを悪化させ、生命に危険をおよぼす可能性があるため治療を考えます。

次に評価するのは、その不整脈が心臓の中に血のかたまり(血栓)を作り、それが脳の血管につまり脳梗塞の原因にならないかどうかです。
もしその可能性があれば、血栓を予防する薬を投与したり、不整脈自体の治療を行います。

生命や脳梗塞に関わりがなくとも、その不整脈による症状でお困りの患者さんには治療を行いますが、症状がない場合には経過観察の方針とします。

当院では上記の方針のもとに患者さんの不整脈を的確に評価し診療していきたいと考えています。

不整脈診断のための検査

ホルター心電図:携帯型の心電計を胸に装着して、普段通りの生活をしながら24時間心電図を記録します。約10万回の全ての心拍動が記録でき、不整脈の診断に欠かすことができない検査です。また狭心症の診断にも有用です。

心臓超音波(エコー)検査:心臓の働きが低下していなかどうか、不整脈の原因となるような弁膜症や心筋梗塞などの心臓の構造上の問題がないかどうかをみる検査です。不整脈の治療方針を決定するためには、欠かせない検査です。

血液検査:不整脈や心電図異常はカリウムやカルシウムなどの電解質異常で出現することがあります。また甲状腺ホルモンの分泌異常で徐脈や頻脈になったりします。B型利尿ペプチド(BNP)は心臓の働きの低下(心不全の程度)をみるために有用です。

胸部レントゲン:心拡大の程度を評価するのみならず、肺気腫などの慢性閉塞性肺疾患やサルコイドーシスなどの病気も不整脈の原因となることがあり行われます。

ループ型イベント心電計:ホルター心電図は1日しか心電図が記録できないため、装着している間に不整脈の症状が出現しない時には診断がつかないことがあります。この心電計は患者さんに貸し出し、ご自身で携帯型心電計を概ね2週間程度装着して頂き、重症の不整脈を自動的に検知し記録します。また専用のリモコンを使用して、症状出現前の心電図をご自分で記録することも可能で、失神の診断に特に有用です。

これらはすべて当医院にて検査が可能です
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